年金概論

2014年10月05日 11:29

日本の年金制度は大きく分けて2階建てになっています。

その一番基礎となるのが「国民年金」。実は、法律で日本国民(日本に住所を有する者)にはこの国民年金制度への加入が義務付けられています。また、よく老後の生活のための積み立て制度だと勘違いされるのですが、あくまで「保険」ですので老後の生活保障以外の給付もありますし、積み立て制ではありません。

そして、この年金制度は時代の流れに沿っていつも適正であるよう法改正が頻繁に行われます。ですから、まずは年金の仕組みや変遷など、概論を頭に入れて置きたいものです。

■年金概論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■公的年金制度の仕組み

公的年金制度は、自分や家族の老齢(加齢)、障害、死亡など保険事故の発生による稼得能力の低下、所得の喪失及び減少などのリスクに社会全体で備えるための仕組みであり、原則としてあらかじめ保険料を納めることで、必要なときに給付を受けることができる社会保険です。また、現役世代が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方(賦課方式 フカホウシキ)を基本とした財政方式で運営されています。

公的年金制度は、後述する国民皆保険制度をとっており、一定の要件に該当する者は、本人の意思にかかわらず、法律によって強制的に加入を義務付けられています。

■公的年金制度の変遷

(1)旧法の年金

日本の年金制度の歴史は、実は厚生年金保険法の方が古く、労働者年金保険法が制定された昭和16年(昭和17年施行)までさかのぼります。このときは厚生年金保険でなく労働者年金保険制度という名称で、加入対象者も工場等で働く男性労働者に限られていました。しかし、昭和19年には女性労働者や一般職員も加入対象とする被用者(労働している者)年金制度とされ、名称も厚生年金保険法に改められました。

一方、国民年金法は、被用者制度の対象とならない自営業者等を対象とし、昭和34年に無拠出制の福祉年金として施行され、さらに昭和36年4月からは、保険料を納めることを要する拠出制の年金制度となり、これにより、日本の「国民皆年金体制」が整ったとされています。※無拠出の福祉年金=保険料を納めなくても良い、という制度だったのですね。

☆昭和36年は健康保険法が整い、この「国民皆年金体制」に加え「国民皆保険体制」も整った、日本の社会保険制度の大きな転換期といえます。

(2)新法の年金

国民皆年金が実現したものの、厚生年金保険の加入対象は会社員、国民年金の加入対象は自営業者等というように分けられた制度体系のままでは、加入している制度により年金給付や保険料負担に不公平が生じるおそれがありました。そのためにとらえた措置が、昭和60年の年金大改正です。この改正により、昭和61年4月からすべての国民が国民年金の対象とされました。厚生年金保険の被保険者は同時に国民年金の被保険者であることとされ、その配偶者(例:サラリーマンの妻)も旧法時代は任意加入でしたが、新法では強制加入となり国民年金の被保険者とすることになりました。

☆昭和60年(昭和61年4月施行)の年金大改正により、昭和61年3月までは新法とは別途計算、など、被保険者の生年月日によって年金給付の額が異なってきます。ですので、改正施行の年月日は要チェックです。

(3)基礎年金と上乗せ年金(2階建て年金)

前記(2)の昭和60年の法改正により、国民年金制度は、すべての国民に共通する基礎年金を支給する制度とされ、また、厚生年金保険制度は、基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金(上乗せ年金)として再編成されました。これにより、労働者を対象とする年金は、いわゆる2階建ての年金制度となりました。

■被保険者

基礎年金である国民年金には、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者についてはすべて加入が義務付けられています。また、上乗せ年金である厚生年金保険については会社勤めしている一定の要件に該当する者に加入が義務付けられています。被保険者はその区分によって第1号~第3号までに振り分けられます。

(1)第1号被保険者

20歳以上60歳未満の自営業者や学生などが該当します。第2号、第3号のどちらにも該当しない者は第1号被保険者です。※60歳~65歳までの任意加入、65歳以上の特例任意加入制度あり。

(2)第2号被保険者

会社勤めをしていて厚生年金保険に加入している者等が該当します(つまり、厚生年金保険に加入している者は国民年金との二重加入となります)。原則として年齢制限はなく、20歳未満、60歳以上でも第2号被保険者となります。

(3)第3号被保険者

第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者等)に扶養されている20歳以上60歳未満の一定収入以下の配偶者が該当します。※第2号被保険者より年下の妻について、夫(第2号被保険者)の会社の定年が60歳の場合、夫は定年退職時に第1号被保険者としての保険料を納めたことになりますが、妻は夫の定年退職後、第1号被保険者となるため保険料の納付が必要です。

■年金給付の種類

年金給付は、被保険者の老齢、障害、死亡といった保険給付事故発生時に被保険者本人やその家族に対して支給されます。

(1)老齢年金(加齢)

老齢となり、所得の喪失等によりその生活の安定が損なわれることを防止するために支給されるのが老齢基礎年金です。また、厚生年金保険の被保険者期間がある者については、老齢基礎年金に上乗せする形で老齢厚生年金が支給されます。原則として65歳以上から支給開始となりますが、法改正の観点から、現在は被保険者の生年月日に応じて段階的に年金給付の支給開始の措置がとられています。

(2)障害年金

疾病や負傷により、その治癒後も心身に一定の基準以上の障害が残った場合に支給されるのが障害基礎年金です。また、構成献金保険の被保険者である場合には、障害基礎年金に上乗せする形で障害厚生年金が支給されます。

(3)遺族年金

一家の生計の中心となっていた者が死亡した場合に、その死亡した者によって生計を維持していた配偶者または子の生活の安定を図るため、その配偶者または子に支給されるのが遺族基礎年金です(配偶者は、原則として子がある場合に限られる)。また、厚生年金保険の被保険者や長期に加入していた者等の死亡においては、遺族基礎年金に上乗せする形で遺族厚生年金が支給されます。

■保険料

第1号被保険者・・・各自が個別に毎月定額の保険料を納める

第2号被保険者・・・厚生年金保険料として納めた保険料の一部が基礎年金拠出金として国民年金へ拠出される

第3号被保険者・・・保険料の納付なし(特例)

国民年金の保険料は定額制で、保険料を納めるのは第1号被保険者のみとなります。また、厚生年金保険の保険料は定率制をとっており、厚生年金保険の被保険者の勤め先から支払われる給料や賞与を基に保険料の額を計算して、被保険者本人と勤め先の事業主が折半負担することとなっています。厚生年金保険の保険料額は国民年金の保険料額に比べて高いのですが、これは前記の基礎年金拠出金についての負担分が含まれているためです。

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ここまでが国民年金の概論です。これから少しずつ詳細についてブログを更新します。死亡一時金(参考:死亡一時金)のように、時事ネタをあわせて更新することもあり、順序が前後することもありますがご了承ください。