労働憲章

2014年12月31日 12:56

労働条件について何の制約も無く自由に決めることになると、使用者(会社側)と労働者の力関係から労働者は劣悪な条件の下で働かせられることになりかねません。そこで、労働基準法は、労働者保護の観点から、労働条件の最低基準を定めています。一般の労働者については特に難しいことはないかと思いますが、船員、労働派遣、出向など、イレギュラーな労働者について理解を深めておきたいところです。


労働条件の原則

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

(1)労働条件

労働条件とは、賃金、労働時間はもちろん、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件を含む労働者の職場における一切の待遇を言う。

(2)労働関係の当事者

労働関係の当事者には、使用者と労働者のほか、それぞれの団体、すなわち、使用者団体と労働者団体を含む。

(3)この基準を理由として

社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には、本状に抵触しない。※本状違反の罰則の定めは無い。


労働条件の決定

労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである。労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を尊守し、誠実におのおのその義務を履行しなければならない。

★労働協約・・・労働組合と使用者またはその団体との間において締結した労働条件等の定めをいい、原則として、その労働組合の組合員である労働者に対して適用される。

★就業規則・・・使用者が事業場の労働者の過半数を代表する者等の意見を聞いて作成した労働条件の定めを言い、その事業場の労働者に適用される。

★労働契約・・・個々の労働者と使用者との間において締結した労働条件等の定めをいう。

就業規則>労働協約>労働契約


均等待遇

使用者は、労働者の国籍、信条、または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的扱いをしてはならない。※性別、年齢等による差別は労働基準法上の違反とはならないが、別の法律で違反となる。(例)男女雇用機会均等法


男女同一賃金の原則

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的扱いをしてはならない。「賃金」とは、賃金額はもちろん、賃金体系、賃金期待等を含む。


強制労働の禁止

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

(1)精神または身体の自由を不当に拘束する手段

長期労働契約、賠償額予定契約、前借借金契約、強制貯蓄金など。

(2)意識反して労働を強制

使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げて労働を強制することを言う。本条は「強制してはならない」と労働を強制すること自体を禁止しているため、労働者が現実に労働しなくても、当該強制のみによって本状違反となり、罰則が適用される(労働基準法上、最も重い罰則が適用される)


中間搾取の排除

何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。


公民権行使の保障

使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。ただし、権利の行使または公の職務の執行に妨げがない限り、請求した時刻を変更することができる。